悩みを抱える人の電話相談に応じる社会福祉法人「仙台いのちの電話」(飯岡智理事長)が、相談員不足に危機感を強めている。年1回、養成講座を開催しているが、今年は定員30人に対して応募者は2人だけで、募集を延長し応募を呼びかけている。
盆明けの平日午後、仙台市内のいのちの電話の事務局。机の上の電話は、相談員3人が電話を受けて相談中であることを示す三つの赤いランプが点灯していたが、四つ目は点滅を続けた。相談電話はかかっているが、取る人がいないためだ。本田登代子事務局長は「もっと相談員がいれば、この電話にも応じられるのに」と説明した。
仙台いのちの電話は1982年の活動開始以来、ボランティアの相談員が家族の問題や対人関係の悩みなどの相談に耳を傾けてきた。93年に年中無休、97年には24時間体制と相談受付時間帯を延ばし、昨年までに受け付けた電話相談は57万4818件に上る。昨年1年で2万1737件の電話相談があり、このうち1割が自殺したい人からだった。
電話で対応するほかの相談機関が少ない夜間には「ほかに誰にも電話できない」「家族を起こせないから」と電話をしてくる相談者もいるという。事務局の増井みどりさん(54)は「一人で孤独な深夜に、電話で話したくてもつながらなければ苦しいはず」と話す。
相談員数は東日本大震災のあった2011年の247人をピークに減少傾向にある。現在は198人が1日8交代で24時間体制を維持している。震災を機に多くのボランティア団体が活動し、ボランティア希望者の選択肢が増えていることが、相談員数の減少につながっている可能性がある。増井さんは「ありのままに話を受け止めて、相手に『分かってもらえた』と思ってもらうことが大切。申込時に専門知識は必要ない」と話す。
養成講座の応募資格は、22〜65歳ぐらいで、仙台や石巻で月2回、1回3時間の活動ができることなど。希望者は、申込書とともに、いのちの電話への参加の動機▽自分の人生を振り返った自分史−−を書いて、事務局に送る。締め切りは9月11日必着。面接後、1年半の研修を受けて相談員に認定される。研修費用は4万5000円。問い合わせは事務局電話022・718・4401。ウェブサイト(http://sendai-inochi.jpn.org/)からも申し込める。【川口裕之】
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引用元:http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20150827ddlk04040167000c.html
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