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【チャリティ】北欧最大のフェスに見る デンマークのチャリティ精神

この近年若者にとっての夏の風物詩といえば、野外フェスがその一つになっている。7月末から8月にかけて行われる野外フェスは、夏フェスと言われ、春や冬に行われるものよりも一般的で人気が高い。日本では4大フェスと呼ばれる人気の夏フェスがあり、中でも新潟県湯沢町苗場スキー場で行われるFUJI ROCK FESTIVALはその草分け。

 この秋にもシルバーウィークを中心に注目の秋フェスが各地で行われるが、今回紹介したいのはヨーロッパ5大フェスで北欧最大のフェス「ロスキレ・フェスティバル」である。デンマーク東部ロスキレの街で行われるロスキレ・フェスティバルの最大の特徴は、非営利ということに尽きる。

非営利ロックフェス「ロスキレ・フェスティバル」

6/27から7/4にかけて開催された今年のロスキレ・フェスティバルには、13万5千人以上が参加。利益の全てがチャリティに使われる。

6/27から7/4にかけて開催された今年のロスキレ・フェスティバルには、
13万5千人以上が参加。利益の全てがチャリティに使われる。
(写真:ROSKILEDE FESTIVAL提供、以下同)

ロスキレ・フェスティバルは非営利で運営され、利益の全てを子どもたちの人道的、文化的プロジェクトに寄付することを謳っている。今年のロスキレ・フェスティバルには、ポール・マッカートニーやディスクロージャー、ファレル・ウイリアムスなど世界的スターが名を連ねた。1週間の会期中、13万5000人以上が訪れ、2億7000万円以上がチャリティに使われることになった。1971年のスタート以来、36億円以上のお金が国境なき医師団や世界最大の国際人権NGOアムネスティ・インターナショナル、またセーブ・ザ・チルドレンやWWFなど多くの組織で使われてきた。

そして、さらに面白いことに、チャリティを行っているロスキレ・フェスティバル・チャリティ・ソサエティは、直接の寄付金を受け付けていない。フェスで生まれるシナジーを大事にしているからだ。そして彼らは音楽とアートを通じて、世界を変えることができると信じており、毎年社会へのインパクトを確実に起こしている。

1971年にスタートしたロスキレ・フェスティバルは翌年より非営利のフェスティバルに。 非営利であることは、フェスの大きなモチベーションであり、DNAとなっている。

1971年にスタートしたロスキレ・フェスティバルは翌年より非営利のフェスティバルに。
非営利であることは、フェスの大きなモチベーションであり、DNAとなっている。

ロスキレ・フェスティバルのオフィシャルスポークスウーマンであるクリスティーナ・ビルデはさらに興味深い話を教えてくれた。

「私たちのフェスティバルには3万人のボランティアが運営に協力してくれます。これは強いチャリティスピリットがあるからです。また、13万人以上もの人に忘れられないような経験をしてもらおうとすれば、ユニークなものを作り出す必要があります。楽しくってチャリティになるというのは、最高の組み合わせだと思っています。

私たちはいつも地域のサポートに感謝してきましたし、地域社会においても、またグローバルにおいてもチャリティを行ってきました。私たちはあらゆる種類の社会的、文化的チャリティをサポートしていますし、私たちはこの世界の一部なんです。そして、ロスキレ・フェスティバルでは、そうした多様性を体験することができるのです」

さらに日本のフェスと違うのは、音楽以外のイベントが多いことである。アート、DIY、それにスポーツ。ストリートスポーツは音楽との親和性が高く、今年もビーチサッカーやストリートバスケット、ビーチバレーボールなどが行われた。ここで興味深いのは、これらのスポーツイベントにもロスキレ・フェスティバルのチャリティ精神が貫かれていることだ。デンマークのスポーツブランド「hummel(ヒュンメル)」と共同開催したOrange Karma Cupでは、全ての試合で決められた得点数1162と同じ数のボールがデンマークの障がいのある子どもに送られることになった。

フェスの中ではスポーツイベントも開催。2004年まで大麻が合法的だったコペンハーゲンの自由自治区クリスチャニア対ロスキレ警察のフレンドリーマッチ が行われるなど、ユーモア精神にも富んでいる。バスケ、バレー、サッカーなど全試合での全得点と同じ数のボールが障害のある子どもに送られることになっ た

フェスの中ではスポーツイベントも開催。2004年まで大麻が合法的だったコペンハーゲンの自由自治区クリスチャニア対ロスキレ警察のフレンドリーマッチ が行われるなど、ユーモア精神にも富んでいる。バスケ、バレー、サッカーなど全試合での全得点と同じ数のボールが障害のある子どもに送られることになっ た
(写真:hummel提供)

楽しみながらチャリティを行うデンマークスタイル

楽しみながら、あるいは気づかないうちにチャリティをしている、という手法は、デンマークでは馴染みのあるやり方である。コペンハーゲンで20年ほど前に始まった「The Cake Day」は、毎年5月に洋菓子店やパン屋が、大きなホールなどで大規模なビュッフェを催す市民イベント。入場チケットを購入すると、参加者はパンやケーキが食べ放題で、その収益は小児がんの基金に使われている。

日本でデンマーク発のチャリティに参加しようとすると、チャリティ商品を購入することが早道だ。例えば、オバック・ウォッチはデンマークの難民救済プロジェクトを応援していて、オバック・レフュジー・ウォッチを購入すると20USドルが寄付される。

そして、より広く、子どもから大人まで楽しめるイベントが今月19日から東京で開催される。「PIECE OF PEACE 『レゴブロック』で作った世界遺産展 PART-3」は吉祥寺パルコ7Fで9/19より10/18まで。LEGOは2014年上期に、「バービー」人形などを展開する米マテル社を抜き、玩具世界一となったデンマークの会社。このイベント、入場は無料だが、グッズの売上の一部が世界遺産を守る活動に寄付されることになっている。レゴを1ピースずつ組み合わせ、大きなものにしていくように、風化や開発、紛争などにより失われつつある世界遺産を次世代の子どもたちに引き継ぎ、平和な社会に繋げようという試みだ。

今年ロスキレ・フェスティバルに初めて参加したアンダース・スティグ・ジェンセンは、フェスの様子をこう話した。

「ロスキレ・フェスティバルはすごいロックフェスだと思うよ。なんといっても、あらゆるタイプの人が自然にくつろげる場所があるし、会場はとてもリラックスした雰囲気で、誰とでも友達になれるような感じなんだ。それにイベントの利益全てが社会を良くしていくチャリティに使われるのもすごくいいよね」

一方的に寄付するわけではなく、楽しんでいたら、気づかないうちに寄付したことになっている。楽しんだ結果、社会がより良く変わっていく様を見ることができる。デンマークにおけるこうしたチャリティは、個人と社会を繋げ、文化や社会の多様性を育んでいるのだと思う。「私たちはこの世界の一部です」と熱く語ってくれたクリスティーナの言葉が胸に残った。
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引用元:http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5388
引用サイト:logo_wedgeinfinity

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